個人事業主になると、「開業届に自宅住所を書いたらネット上にも公開されるの?」「ホームページや請求書にも住所が必要?」と不安になる方もいるでしょう。
個人事業主だからといって、自宅住所をあらゆる場所で公開するわけではありません。税務署へ提出する住所、取引先に伝える住所、不特定多数が見られる住所は分けて考える必要があります。
本記事では、個人事業主の住所が外部へ出る主な場面と、自宅住所を公開したくない場合の確認手順を整理します。必要に応じて、自宅とは別の事業用住所を用意する方法も確認してみましょう。
編集長私自身も個人事業主として活動していますが、住所については「どこに書くか」だけでなく「誰から見えるのか」を分けて考えると整理しやすいです。
- 個人事業主が自宅住所を公開する主な場面
- 税務署へ提出する住所と一般公開される住所の違い
- ホームページ・ネットショップ・請求書などで住所を確認するポイント
- 自宅住所を公開したくない場合の対策
- 事業用住所やバーチャルオフィスを検討するタイミング
7つの質問に答えると、自宅住所が外部に出る可能性と、確認しておきたいポイントがわかります。
※この診断は、自宅住所の公開可能性を整理するための簡易チェックです。法律・制度上の可否を判定するものではありません。
個人事業主だからといって自宅住所をすべて公開する必要はない


個人事業主が事業で住所を使うからといって、その住所がすべて一般公開されるわけではありません。
まず確認したいのは、「住所を提出・記載すること」と「不特定多数へ公開すること」の違いです。
本章では、次の2点を整理します。
- 税務署などへ提出する住所と一般公開される住所の違い
- 住所が誰に見えるのかを確認する考え方
同じ自宅住所でも、税務手続きで使う場合と、Web上へ掲載する場合では公開範囲が異なります。まずは「住所を書く必要があるか」だけで判断せず、「その住所を誰が見られるのか」まで確認していきましょう。
税務署などへ提出する住所と一般公開される住所は別
開業時の手続きで住所を記載しても、その住所を一般向けに公開することと同じではありません。
たとえば、国税庁の「個人事業の開業・廃業等届出書」には、納税地などを記載します。これは税務手続きのために税務署へ届け出る情報です。
一方、ホームページやネットショップなどに住所を掲載すれば、サイトの閲覧者や購入者など第三者の目に触れる可能性があります。
そのため、「開業届に自宅住所を書くか」と「自宅住所をインターネット上で公開するか」は分けて考えましょう。
個人事業主の住所対策では、まず「どこへ提出する住所なのか」「誰から見える住所なのか」を整理することが大切です。
まず「誰に住所が見えるのか」を確認する


住所を記載する必要があるかどうかだけでなく、その住所を「誰が見られるのか」まで確認すると、自宅住所を分けるべき場面が見えてきます。
たとえば、税務手続きで提出する住所は主に税務署が確認する情報です。一方、請求書は取引先、ホームページやネットショップは閲覧者や購入者の目に触れる可能性があります。
主な違いを整理すると、次のとおりです。
| 住所を使う場面 | 主に住所を見る相手 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 開業・税務手続き | 税務署など | 提出する住所と公開住所を分けて考える |
| 請求書 | 取引先 | 住所の記載が必要か確認する |
| ホームページ | サイト閲覧者 | 一般公開する必要があるか確認する |
| ネットショップ | 購入者・閲覧者 | 特商法上の表示方法を確認する |
| Google Playなど | サービス利用者 | 登録住所と公開住所の違いを確認する |
このように、同じ「住所を使う」という行為でも、公開範囲は同じではありません。
自宅住所を出したくない場合は、「住所が必要か」→「誰に見えるか」→「自宅以外の住所へ切り替える必要があるか」の順番で確認しましょう。



住所対策では、すべてを非公開にしようとするより、「どの住所だけ外部へ出るのか」を切り分けるほうが現実的です。
個人事業主の自宅住所が外部へ出る主なケース


個人事業主の住所が第三者の目に触れる場面は、ホームページだけではありません。ネットショップでの販売、取引先への請求書、Google Playなどのプラットフォーム利用でも、住所の記載や登録を求められることがあります。
とくに確認したいのは、次の4つです。
- ホームページに事業者情報を掲載するとき
- ネットショップで商品やサービスを販売するとき
- 請求書や取引書類を渡すとき
- Google Playなどのプラットフォームを利用するとき
ただし、「住所の登録が必要=一般公開される」とは限りません。それぞれ公開範囲やルールが異なるため、自分が利用しているサービスや取引方法ごとに確認していきましょう。
7つの質問に答えると、自宅住所が外部に出る可能性と、確認しておきたいポイントがわかります。
※この診断は、自宅住所の公開可能性を整理するための簡易チェックです。法律・制度上の可否を判定するものではありません。
ホームページに事業者情報を掲載するとき
個人事業主がホームページを持つだけで、必ず自宅住所を掲載しなければならないわけではありません。住所表示が必要かどうかは、ホームページで何をするかによって変わります。
たとえば、自社の商品やサービスをインターネット上で申し込める通信販売に該当する場合は、特定商取引法1に基づく表示を確認する必要があります。一方、事業内容や実績を紹介するだけのホームページとは事情が異なります。
用途別の考え方については、個人事業主のホームページに住所は必要?自宅住所を載せたくないときの対策も参照にしてみてください。
ネットショップで商品やサービスを販売するとき
個人事業主がネットショップで通信販売を行う場合は、特定商取引法に基づく表示を確認しましょう。
通信販売では、原則として事業者の氏名・名称、住所、電話番号などの表示が求められます。
ただし、自宅住所をそのまま表示する方法しかないわけではありません。消費者庁は、一定の条件を満たす場合、プラットフォーム事業者やバーチャルオフィス2の住所・電話番号を表示することで要請を満たすケースがあると示しています。
利用するネットショップによって機能や条件も異なるため、サービス側の最新ルールまで確認してください。
詳しくは、ネットショップで自宅住所を出したくないときの対策で整理しています。
請求書や取引書類を渡すとき
個人事業主が請求書を発行する場合も、「自宅住所を必ず記載しなければならない」と一律にはいえません。
とくにインボイス制度の適格請求書3では、法律上求められる記載事項に発行者の住所は含まれていません。
ただし、実際の取引では、取引先から住所の記載を求められたり、自社の請求書フォーマットに所在地欄が設けられていたりする場合があります。
そのため、法律上必要な情報と、取引上必要になる情報は分けて確認しましょう。
請求書にどこまで住所を書くべきか迷っている方は、フリーランスの請求書に住所は必要?自宅住所を出さない方法も確認してみてください。
Google Playなどのプラットフォームを利用するとき
アプリやデジタルサービスを販売する場合は、利用するプラットフォームごとに「登録する住所」と「利用者へ公開される住所」を確認する必要があります。
Google Playでは、デベロッパーアカウントの作成時に住所情報が必要です。また、アカウントの種類や収益化の状況によって、Google Play上で公開される情報が変わります。
つまり、Googleへ住所を登録することと、その住所が利用者へ公開されることは別の問題です。
個人開発者で自宅住所を出したくない方は、Google Playで住所は公開される?自宅住所を出さない方法で公開条件をチェックしてみてください。



住所を求められたときは、「登録するだけなのか」「取引相手に見えるのか」「誰でも閲覧できるのか」の3つを分けて確認してみてください。
自宅住所を公開したくないときは3段階で考える


自宅住所を出したくない場合でも、最初からバーチャルオフィスを契約する必要があるとは限りません。
まず住所公開の必要性を確認し、次にサービス側の非公開・代替表示の仕組みを調べます。それでも公開用の住所が必要なら、自宅とは別の事業用住所を検討する流れが自然です。
確認する順番は、次の3段階です。
- そもそも住所を公開する必要があるか確認する
- サービス側に非公開・代替表示の仕組みがないか確認する
- 公開用の事業用住所が必要なら自宅と分ける
自分がどの段階に当てはまるのかを確認しながら、必要な対策だけを選んでみてください。
1.そもそも住所を公開する必要があるか確認する


最初に確認したいのは、「その場面で住所の公開が本当に必要なのか」です。
個人事業主だからという理由だけで、ホームページや請求書、各種サービスに自宅住所を一律で掲載する必要はありません。必要な情報は、取引方法や利用するサービス、適用される制度によって異なります。
たとえば、事業内容を紹介するだけのホームページと、商品を販売するネットショップでは住所表示の扱いが変わります。請求書についても、住所が法律上の必須記載事項ではないケースがあります。
そのため、次の順番で確認しましょう。
「念のため載せておこう」と自宅住所を公開してしまう前に、その住所が本当に必要なのかを確かめることが第一歩です。
2.サービス側に非公開・代替表示の仕組みがないか確認する
住所の表示が必要な場合でも、自宅住所をそのまま公開する前に、利用しているサービスに非公開機能や代替表示の仕組みがないか確認しましょう。
ネットショップや販売プラットフォームの中には、一定の条件で事業者の住所を直接表示せず、サービス提供会社の所在地などを表示できる仕組みを設けているものがあります。
ただし、利用条件や表示方法はサービスごとに異なります。
確認するときは、「住所を登録する必要があるか」だけでなく、「購入者や一般ユーザーにどの住所が表示されるのか」まで見ることが大切です。
利用できる非公開機能があるなら、バーチャルオフィスを契約せずに自宅住所の公開を避けられる場合もあります。
3.公開用の事業用住所が必要なら自宅と分ける
非公開機能や代替表示だけでは対応できず、事業用の住所が必要になる場合は、自宅とは別の住所を用意する方法を検討します。
代表的な選択肢のひとつがバーチャルオフィスです。実際の作業スペースを常時借りず、事業用住所を利用できます。郵便物の受け取りや転送、法人登記などに対応するサービスもあります。
ただし、利用できる範囲はサービスや契約プランによって異なります。
住所だけ必要なのか、郵便物も受け取りたいのか、将来は法人登記まで考えているのかを整理してから選びましょう。



バーチャルオフィスは「自宅住所を隠すために必ず契約するもの」ではありません。公開用の住所が本当に必要か確認したうえで、自分の用途に合う場合だけ検討すると無駄がありません。
自宅住所を使う場所と事業用住所を使う場所を分けて考えよう


自宅住所を公開したくないからといって、事業で使う住所をすべて同じ場所へ統一する必要はありません。
大切なのは、「どの手続きで使う住所なのか」「誰に見える住所なのか」を分けて考えることです。
税務手続きでは自宅住所を使い、一般公開される場面だけ事業用住所を使うなど、用途に応じて住所を使い分ける方法もあります。
たとえば、次のように整理できます。
| 用途 | 住所の考え方 |
|---|---|
| 税務上の住所 | 納税地の要件を確認する |
| ホームページ・ネットショップ | 一般公開される住所を確認する |
| 請求書 | 取引先との実務上の必要性を確認する |
| 郵便物の受け取り | 実際に受け取れる住所を用意する |
| 法人登記 | 登記に利用できる住所か確認する |
「自宅住所を使うか、バーチャルオフィスを使うか」という二択ではなく、用途ごとに必要な住所を整理すると、余計な契約や不必要な住所公開を避けられます。
バーチャルオフィスが必要とは限らない


自宅住所を公開したくない場合でも、必ずバーチャルオフィスを契約する必要はありません。
たとえば、ホームページで住所を公開する必要がなく、ネット販売も行わず、郵便物も自宅で受け取れるのであれば、事業用住所を別に用意しなくても困らないケースがあります。
一方、次のような場合はバーチャルオフィスを検討する意味があります。
- 自宅住所を不特定多数へ公開したくない
- ネットショップやサービス上で事業者住所が必要
- 仕事用の郵便物を自宅とは分けたい
- 将来、法人登記に使える住所を用意したい
つまり、バーチャルオフィスを使うかどうかは「個人事業主だから」ではなく、「自宅以外の住所が必要な場面があるか」で判断するのが基本です。
必要性を感じたら、料金だけでなく、住所利用の範囲、郵便物転送、法人登記への対応なども確認してみてください。



住所対策は、サービスを契約すること自体が目的ではありません。自宅住所を外へ出したくない場面があるかを先に整理すると、自分に必要な対策だけを選べます。
6つの質問に答えると、重視する条件に合いやすいサービスを5社から判定します。
※診断結果は、各社の公開情報をもとにした選択の目安です。料金・対応サービス・キャンペーン等は変更される場合があるため、申し込み前に各サービスの案内で最新情報をご確認ください。
バーチャルオフィスの選び方については、以下の記事も参考にしてみてください。


よくある質問
- 個人事業主になると自宅住所はネットで公開されますか?
-
個人事業主になっただけで、自宅住所が自動的にインターネット上へ公開されるわけではありません。
ただし、ホームページやネットショップ、Google Playなど、利用するサービスや販売方法によっては住所が表示される場合があります。
- 開業届に書いた自宅住所は一般公開されますか?
-
開業届に記載した住所が、開業届を提出したことを理由として国税庁から一般向けにインターネット公開される仕組みではありません。
ただし、ネットショップや各種サービスなど、別の場面で住所表示を求められることはあります。
- 請求書には自宅住所を書かなければいけませんか?
-
請求書に自宅住所を必ず記載しなければならないとは限りません。
適格請求書の法定記載事項にも発行者の住所は含まれていませんが、取引先との契約や実務上、所在地の記載を求められる場合があります。
- バーチャルオフィスを使えば自宅住所を一切使わずに済みますか?
-
一切使わずに済むとは限りません。
バーチャルオフィスは事業用住所として利用できますが、本人確認や住民票など、自宅などの生活上の住所が必要になる場面は残ります。利用用途とサービス側の条件を確認してください。
自宅住所が公開される場面から確認しよう
個人事業主だからといって、自宅住所をすべての場面で公開する必要があるわけではありません。
まずは、税務手続き・ホームページ・ネットショップ・請求書・各種プラットフォームなど、どこで住所を使うのかを整理しましょう。
そのうえで、「誰に見える住所なのか」「非公開や代替表示ができないか」を確認します。公開用の住所が必要なら、自宅とは別に事業用住所を用意する方法も検討できます。



いきなりバーチャルオフィスを契約するのではなく、自宅住所が公開される場面を特定してから、必要な対策を選んでみてください。
脚注・用語解説








